屈折矯正手術

トピックス

最近のトピックスとして、2025年4月に新しい手術方法としてICLと同様の方法で近視矯正を行うアイピーシーエル(IPCL)が厚生労働省の認可を受けました。

当院はこのアイピーシーエルが厚生労働省からの承認を目的に行われた多施設臨床試験(治験)に参加した実績があります。

当院では2000年から約25年にわたる屈折矯正手術に対する経験と実績があり、眼科専門医かつ屈折矯正手術認定医が手術を担当しております。

目の仕組みと近視矯正

  • 角膜:眼球の屈折力の約2/3を担います。
  • 水晶体:眼球の屈折力の約1/3を担うほか、屈折力を変化させピント調節を行います。
  • 網膜:カメラのセンサーに相当し、映像を脳に伝えます。
  • 瞳孔:カメラの絞りに相当し、光量を調整します。
  • 虹彩:角膜と水晶体の間にあり、瞳孔の大きさを変化させます。
  • 眼軸長:角膜から網膜までの目の長さです。

近視の目では、角膜や水晶体によって生じる眼球の屈折力に対して眼軸長が長くなっており、このバランスをとる(正視にする)ことが近視矯正です。

近視や乱視の矯正には通常メガネやコンタクトレンズの装用を行います。

 

近視矯正手術について

近視矯正手術とは、日常生活においてメガネやコンタクトレンズ装用に不自由さを 感じている方を対象、近視や乱視を矯正して裸眼視力の回復を目的に行う治療です。

近視矯正手術には、目の中にレンズを挿入して矯正を行うアイピーシーエル(IPCL)ICL(アイシーエル)や目の表面にレーザーを照射して矯正を行うレーシック(LASIK)PRK(ピーアールケイ)SMILE(スマイル)があり、いずれの治療も厚生労働省の認可を受けております。

 

近視矯正手術の適応

当院では近視矯正手術の適応の目安として以上のように考えております。そのほか、日本眼科学会による屈折矯正手術のガイドラインに基づいて適応判断を慎重に行います。

アイピーシーエル(IPCL)

アイピーシーエル(IPCL)とはImplantable Phakic Contact Lens の略称であり、目の中にレンズを入れて近視や乱視を矯正する治療です。アイピーシーエルはイギリスのEyeOL社から発売された新しい後房型(虹彩と水晶体の間)の有水晶体眼内レンズです。2013年にヨーロッパにてCEマーク(安全性)を取得しており、世界約30カ国で承認されています。ICLと同様に有効性と安全性が認められており、日本では20254月に厚生労働省の認可を受け正式に使用できるようになりました。

アイピーシーエルは眼内レンズやコンタクトレンズに広く用いられている、紫外線吸収剤含有のメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)を主成分としたアクリルポリマー製レンズです。

アイピーシーエルはレンズのサイズが13種類(ICLは4種類)と多く、患者さん一人ひとりの目の大きさに適したサイズ選択ができます。また、レンズを安定して固定するための支持部にはスプリング機能があります。このサイズ選択とスプリング機能によって、眼内でのレンズの位置を最適な状態にすることが期待できます。

さらに、眼内における房水の循環を促進する7つのホール(ICLは1つのみ)が設置されております。このようにIPCLは白内障や緑内障の発症予防に配慮して安全性を向上させています。

ICL (アイシーエル)

ICL(アイシーエル)とはImplantable Contact Lens の略称であり、目の中にレンズを入れて近視や乱視を矯正する治療です。

ICLはアメリカのSTAAR Surgical社から1993年に発売開始された後房型の有水晶体眼内レンズです。1997年にヨーロッパにてCEマークを、2005年にアメリカにてFDAの承認をそれぞれ得ており、日本では2010年に厚生労働省の認可を受けています。ICLはその有効性と安全性だけでなく、視力の長期的な安定性などの観点からレーシックに代わる治療として日本でも多くの認定医によって手術が行われています。

 

レーシック(LASIK)

レーシックは、目の表面にある角膜にレーザーを照射して(角膜を削る)屈折を変化させ、近視や乱視を矯正する治療です。日本では、2000年に厚生労働省が「エキシマレーザー」の屈折矯正手術への適応を認可しています。

当院のレーシックでは、患者さん一人ひとりの目に応じてカスタマイズしたプログラムを用いた矯正を行います。

レーシックは術後の痛みが少なく、早い視力回復が期待できるといったメリットがあります。さらに、IPCLやICLが目の中で行われる手術に対して、レーシックは目の表面で行う手術なので、万一感染症を起こした際のリスクという観点においてレーシックの方が安全性がより高いと言えるのかもしれません。 ただし、一度削った角膜はもとに戻すことができません。

 

手術方法

 

 

費 用

  • 初診検査費用(税込) :1,000円
  • 術前検査費用(税込) :5,000円
  • 手術費用(税込)
IPCL(アイピーシーエル) ICL レーシック
440,000円 550,000円
2025年12月末日までの特別料金
704,000円 418,000円

▶手術費用は両眼の場合であり、手術当日にお支払いして頂きます。 術後3か月までの診察、検査、投薬の費用も含んでおります。

▶アイピーシーエルやICLでは乱視矯正用のレンズを使用した際も費用は同一です。

▶医療費控除について|費用は公的健康保険の適応外ですが、条件を満たすことで医療費控除の対象(確定申告が必要)になります。

 

予約から手術までの流れ

1.ご予約

まずは、お電話もしくはネット予約システム(アイピーシーエルを希望される方限定)にて予約をお取りください。
(以下に使用しております写真情報はバプテスト眼科長岡京クリニックのものです。)

2.初診検査

手術の適応があるかどうかについて検査と診察でおおまかな判断を行い、手術の予定日を計画します。ただし、手術の確定は次回の術前検査で行います。所要時間は約1時間程度になります。

3.術前検査

手術の適応を満たした場合は、手術方法やその注意点などについて十分に説明を行い、了承を得られたうえで手術を確定させます。所要時間は約2-3時間程度になります。

▶アイピーシーエルやICLではレンズを注文を行う必要があり、そのため手術日は注文から約1-2か月後となります。

▶ソフトコンタクトレンズ装用の方は2週間、ハードコンタクトレンズ装用の方は3週間前から装用を中止してご来院ください。

▶眼底検査時に散瞳(目薬で瞳を大きくする)を行うため、帰宅時の見え方が低下します。来院時には車やバイクの運転はお控えください。

4.手術当日

いずれの手術も所要時間は約3時間程度かかります。(手術時間は15~20分程度)

また当院では原則、IPCLおよびICLの両眼同時手術は安全性の面から行っておらず、通常1週間の間隔をあけて行います。

▶もし手術当日に何らかのトラブルで手術機器の調整が必要となった場合には、調整にお時間をいただくか、あるいは手術を延期させていただくことがございますことをあらかじめご了承ください。

手術以降の流れ

5.術後検診

当院では手術翌日、術後1週間、術後1か月、術後3か月、術後6か月を目安としておりますが、それ以降も定期的な検診を推奨しております。術後3か月以降は受診ごとに約2000円の費用を負担して頂きます。

手術後の日常生活上の制限については以下のようになっております。

近視矯正手術の注意点

近視矯正手術は安全性や有効性の高い治療です。ただし、確実見え方を100%保証するものではありません。ご自身の目に関わることですので、注意点などについてもご理解のうえ慎重にご検討ください。

 

すべての手術方法に共通する注意点

近視矯正効果の低下

近視矯正手術は治療を受ける時点での近視や乱視の量に応じて矯正を行います。術後の経過とともに近視が増えた場合には、裸眼視力が低下することがあります。

夜間の見え方の低下

夜間の光がリング状にぼやけたり(ハロー)、光をまぶしく感じたり(グレア)して、夜間の運転などがしづらくなる場合があります。ほとんどの方は術後数か月で解消されます。

老眼

50歳前後の年齢になると水晶体のピント調節力が低下して手もとが見えづらくなってきます。その際は老眼鏡の装用が必要になります。

アイピーシーエル、ICLの注意点

レンズの位置調整、入れ替え

レンズの位置ずれが生じたり、レンズの度数やサイズが合わない場合があります。医師の判断によりレンズの位置調整や入れ替えを行います。

白内障、緑内障

目の中の狭い空間にレンズをいれるため、水晶体が混濁したり眼圧が上昇したりする場合があります。

術後眼内炎

きわめてまれに目の中に感染症を生じる場合があります。その際は緊急の治療が必要になりますが、視力予後が著しく不良になる可能性があります。術前後でしっかりと点眼を行い、生活制限や医師の指示をしっかり守るようにしてください。

レーシックの注意点

ドライアイ

術後に目が乾きやすく感じる場合があります。ほとんどの方は保湿用の点眼薬などで症状が軽減します。

角膜混濁、角膜変形

術後に角膜に濁りが生じたり、きわめてまれに角膜の形状が大きく変形する(エクタジア)場合があります。変形が生じた際は追加の治療が必要になります。

術後角膜感染症

きわめてまれに角膜に感染症を生じる場合があります。その際は緊急の治療が必要になりますが、視力予後が著しく不良になる可能性があります。術前後でしっかりと点眼を行い、生活制限や医師の指示をしっかり守るようにしてください。

 

患者さん向けのサイト

日本白内障屈折矯正手術学会が作成した屈折矯正手術に関する患者さん向けのサイトがありますのでご参考にしてください。